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『薬屋のひとりごと』日向夏


大陸の中央に位置するとある大国。その皇帝のおひざ元にその娘はいた。猫猫(マオマオ)、花街で薬師をやっていたが、現在後宮で下働き中である。けして美人とはいえぬその娘は、分相応に何事もなく年季があけるのを待っていた。まかり間違っても帝が自分を“御手付き”にしない自信があった。そんな中、帝の御子たちが皆短命であることを知る。存命の二人の御子も重い病と聞いた猫猫は、その原因を調べ始める―。大絶賛されたあの痛快ミステリーが待望の文庫化。中世の東洋を舞台に「毒味役」の少女が宮中で起こる難事件を次々に解決する。(「BOOK」データベースより)


今話題ですよね、『薬屋のひとりごと』。
「小説家になろう」出身のオンライン小説で、爆発的な人気が出て単行本化された作品です。
私は先に漫画版のほうを読んでいて、これがなかなか面白かったので原作にも手をだしちゃいました!

正直なところ、ラノベは「読みどき」というのがあるのだと思います。
きっと自分が10代や20代の頃に読んでいたなら、ものすごくハマっていたでしょう。笑
酸いも甘いも噛み分けた大人の皆さんには、もしかしたら物足りなく感じてしまうかも…

それでも、そこらへんの男より男らしい「薬屋」の少女が主人公であること、
猫猫は実は美人なのに化粧で地味に見せていることや、どこまでも冷静な視点で事件に臨むところなど、
設定がとても魅力的であることは間違いありません。

また、美形の宦官・壬氏のキャラクターが若干不安定なところも魅力w
女官たちをたぶらかしているよう見えたかと思えば、子供のように拗ねたりすることもあり。
大人びた猫猫の存在がそうさせているのかもしれませんが、本当の顔はどっちなんだろう?

ミステリーとしてはちょっと甘いかもしれませんが、
キャラクターや後宮での事件という設定は気に入ったので、続けて読んでいこうと思います!


個人的評価:★★★+

『ナショナルジオグラフィック2021年1月号』読みました!



しばらく定期購読をストップしていた「ナショナルジオグラフィック」を今年からまた再開しました!

去年はコロナで、世界の出来事(政治から環境問題まで)がまるで入ってこなくなって
毎日毎日国内の同じニュースばかり目にするのに嫌気が差してきたっていうのが一番の理由です。
あとはね、あれですよ。今年は読書のリハビリYearなので少しでも知的生活を目指そうと。笑

というわけで、『ナショナルジオグラフィック2021年1月号』。
表紙の2人は、コロナ対応で疲れ切っているベルギーの看護師さんたちの写真。

いやーやっぱりこの雑誌はすごいです。ナショジオは世界中に専属の写真家がいるから、
コロナ禍でも、ありとあらゆる国の情報が入ってくる。

今回は「2020 写真が記録した激動の年」。
・試された1年
・隔てられた1年
・闘い続けた1年
・希望をつないだ1年

各国のコロナ事情や、人種差別に抗議する人々の特集が組まれています。

トルコのイスタンブールで、観光客の消えた街中で働くエッセンシャルワーカーの人たち。
インドで、パンデミックにより職を失う危機にある1億3900万人を超える出稼ぎ労働者。
ケニアでは、過去70年で最悪の被害を記録し食糧危機をもたらしているバッタの大群。

衝撃的な写真ばかりで、2020年がいかに未曾有の災厄に襲われたのかが分かります。

その一方で、自然が回復しよみがえった川で遡上する魚の群れや、
過酷な状況でもたくましく生きるヌーの大群など、元気をもらえる記事もいっぱいです!

↓ちなみに過去のバックナンバーも捨ててません!
また黄色の背表紙が本棚に並んでいくのが楽しみですヽ(=´▽`=)ノ

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<読書記録しおり>読書メモをアナログで!

今年から本格的に読書のリハビリ期間に入ったので、
きちんと読んだ本のアウトプットをするためにも読書記録を「アナログ」でつけ始めました。
もちろん読書メーターやブクログも使っていますが、いつかサービスが終了することも踏まえ…w

で、三日坊主にならず毎日続けられそうなもの…と探していてたどり着いたのがこちら。
「ワタシ文庫」の読書記録しおり!!




これ、めちゃめちゃ可愛くないですか??
あれですよ、昔図書館で本を借りたときに後ろについてた貸出カードですw
ちゃんとオレンジの封筒つきで、手帳や好きな本に貼り付けられるようになってます。
しかもこの封筒、図書館用品メーカー伊藤伊の本物の図書貸出カード用ブックポケットというこだわり。

裏表で合計20冊書き込めるしおりが3枚入っているので、1セットで60冊分。
紙質も貸出カードと同じでしっかりしているので、万年筆でも裏写りしないのが良いですね。
そしてなにより……欄が埋まっていくことの達成感!!!ヽ(=´▽`=)ノ

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しおりとしても使えるし、こうやって読書を見える化することで、
モチベーションを維持できそうな気がします。

今月は折り返し地点、ひとまず表の欄は埋まったぞww(漫画多いが…)
今年は200冊読みたいなと思っているので、読書記録しおり10枚分!がんばるぞー!

『know』野崎まど


超情報化対策として、人造の脳葉“電子葉”の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。それは、世界が変わる4日間の始まりだった―(「BOOK」データベースより)


先日の『三体』に引き続き、何だかSFを読みたい気分だったので。
野崎まどさんの『know』も、長いこと積読だったんですがようやく引っ張り出してきました。

ライトなSFといった趣で、スピード感があり読みやすかったです!
野崎さんは以前『バビロン』という本を読んで、本は面白かったのにアニメの方がどうも受け付けなくて、
なんとなーく苦手意識を持っていたんですよね。でもこの本でマイナス感情が払拭された感じです。

<電子葉>が脳に移植され、あらゆる情報を瞬時に取得できるようになった時代。

何か調べ物をするときに、以前は紙の辞書を使って調べるのが当たり前でしたよね。
(そんな昔の話じゃないのに遠い過去のことのよう…笑)
その次にはパソコンで調べるようになり…今やほとんどの人がスマホで調べるのが普通です。
でも、さらにもう一歩進んだ世界というべきでしょうか。頭の中に検索エンジンがあるイメージ。

瞬時に調べることができるということは、「検索すること」と「知っていること」は同じだということ!
便利なようで、とても危うい均衡のもとに成り立つ超情報化時代です。

情報庁の御野連レルは、失踪した恩師・道終常イチと14年ぶりの再会を果たすや否や、
この世界で最高の情報処理能力を持つという少女・知ルを任されることに。
彼女が目指すのはこの世の全てを知ること。最終的に行き着くところとは…。

ボーイミーツガールと言うには、連レルは年を取りすぎているような気もしますね。
それか、せめて知ルちゃんは、高校生以上であって欲しかったなぁ。
ロリコンと言われても仕方がないよ…!笑

素月切ルのキャラが立ってたわりには、生かし切れていない気がするとか、
銃弾交わすシーンはどうしても「マトリックス」しか思い浮かばないとか、
やっぱりオッサンと少女の恋愛に違和感があるとか、色々突っ込みどころはあるけれども。
でもラストの幕引きは個人的にとても気に入っています。

情報化社会が行くところまで行ったら、間違いなくこんな世界が待っているんでしょうね。
おそろしや。

個人的評価:★★★★

『三体』劉 慈欣




物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。

数十年後。ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?(「BOOK」データベースより)


2021年の1冊目。
しばらく本格的な読書から離れていたので、リハビリとしては重いかなーと思いつつ…
ページをめくり始めたら、あっという間に読み終えてしまいました!

中国SFということで、ものすごく話題になっていたことは知っていましたが、
実際に読んでみて、世界中で高い評価を受けていることに合点が行きました。
そこまでSFに詳しいわけではないのですが、今まで読んできた日本や欧米のSFとは全く違います。

第一部「沈黙の春」は、中国の文化大革命のエピソードから始まります。
正直ここの部分が若干冗長に感じられるものの、これは壮大な前フリ!読み飛ばしちゃいけませんw
物理学者の父を殺された葉文潔。彼女の壮絶な過去を丁寧に描くことで後半が生きてくるんですね。

そして四十数年後が経過した第二部「三体」。
三体ってなんぞや?と思いましたが、これは本作で登場するVRゲームの名前。
いやーゲームの描写もここまで来ましたか。正直すごすぎて鳥肌が立ちましたよ…!!
単なるVRじゃない、全身で知覚できる「三体」は、たぶん一度経験したら戻って来られないかも。

余談ですけど…こういう全身知覚型のVRゲームが普通に出回る時代になったら、
貴志祐介さんの『クリムゾンの迷宮』とかも、普通に遊べるようになるのかしら。(恐ろしw)

巨大な振り子モニュメントやピラミッド、そして大きな平原や不気味な夜明け。
人間を脱水したり水で戻したりなんて、斬新すぎて考えたこともなかったです。
たびたび登場する「脱水だー!」が面白くて、ちょっと使いたくなりますわ。笑

ネタバレになるので多くは語りませんが、本作のテーマは「異星人とのファースト・コンタクト」です。
続く『三体Ⅱ 黒暗森林』ではどんな展開が待っているのか?早く続き買ってこなくちゃ!!

オバマ前大統領も愛読したという『三体』、どうやらNetflixでドラマ化もされるようで!
しかも製作総指揮、脚本は「ゲーム・オブ・スローンズ」のデヴィッド・ベニオフとD.B.ワイス。
こりゃもう面白くなる予感しかないですな…楽しみヽ(=´▽`=)ノ

個人的評価:★★★★★

2021年、今年もよろしくお願いします。

いつぶりの更新でしょうか。笑
ななこは相変わらず元気にやっています。

世界はたった1年足らずで様変わりしてしまいましたね。
マスクをしないで思う存分出歩いていた日々が遠い昔のようです。
いつか、「こんな事もあったんだよ」と過去の話になると良いのですが…。


さて、今年の抱負ですが。よくばらずにひとつだけです。

<本を読む。>
やるやる詐欺だって思われるぐらい毎年言ってますけど!今年こそ!!
とりあえず正月は、話題の中国SF「三体」は読了できました。
やっぱり読書って、環境作りが大事なのねと実感。

今年は読書のリハビリの年にしたいので、またよろしくお願いします!!

ところで正月からなんですが。このビール美味しいですぞ。
昼間から飲める幸せw

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『神様ゲーム』麻耶雄嵩



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか。神様シリーズ第一作。

まずはお久しぶりです。



えっと…まずはみなさん、お久しぶりです!!
最後のブログ更新がなんと去年の4月。なんということでしょう。

ななこは元気です。
結婚生活にも慣れ、相変わらずフルタイムで働いてはいますが少しずつ自分のペースも掴めるようになってきました。
というわけで、今年は去年よりも本のある生活に戻りたいなと思っております。

やっぱり読書はアウトプットが大事だというのも分かってきたので、
読んだらすぐに思ったことを書く。とりとめのないことでも記録に残すということを心がけたいと思います。
今年に入ってからTwitterも1日1回は更新するように心がけてますが、いつまで続くものやら…笑

昨年は、待ちに待った「十二国記」の新刊が出て、
読書のブランクもどこへ行ったのか、読み始めたらあまりの面白さに一気読み。
本当に至福の読書体験でした。こちらの感想は時間ができた時にぼちぼち書きます!


2020年の1冊目に選んで良かったのか否か。



2020年の1冊目は、麻耶雄嵩さんの『神様ゲーム』を読みました。
実は『さよなら神様』を先に購入していて、読もうとしたら2作目だったという失態。
慌てて1作目の本作を買ってきたというわけです。ヒグチユウコさんのイラストでしょうかね。

結論としては、「困惑したけれど嫌いじゃない」です(笑)

この作品、講談社ミステリーランドから出ていたんですね。
ミステリーランドは、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」がコンセプト。
まぁざっくり言うと児童書なんですが……正直ミステリーランドはどれ読んでも児童書ではありませんね。

『神様ゲーム』も例に漏れず、ブラックな味わいが特徴。
小学生の子供たちが秘密基地を作ったり、ある連続猫殺し事件を追いかけると言うあたりは、
日本版「スタンド・バイ・ミー」とか「IT」(要するにスティーヴン・キングの青春もの)を彷彿とさせますが、
中盤以降はじわじわと違和感を感じ始めるのです。

猫殺し事件の犯人探しを軸として、
新たに起こる殺人事件の真相と、そのトリックを追うミステリー小説です。
「えっその人が犯人だったの?!」……からの、最後の最後のどんでん返し。度肝を抜かれました。

正直、読了後に考察サイトを色々調べましたが、ストンと腑に落ちる展開ではなく。
結末を読者に委ねるリドルストーリーの部類なのでしょうか。
き、気になる!モヤモヤしますが、こういう作品結構好きです。

個人的評価:★★★★

『米澤穂信と古典部』米澤穂信



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
新作短編も収録!人気作家とともに歩んだ〈古典部〉のすべてがここに!
ある日、大日向が地学講義室に持ち込んだのは、鏑矢中学校で配られていた「読書感想の例文」という冊子。盛り上がる一同に、奉太郎は気が気でない――。書き下ろし新作短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」の他、古典部メンバー四人の本棚、著者の仕事場や執筆資料も初公開!『氷菓』以来、米澤穂信と一五年間ともに歩み、進化を続けている〈古典部〉シリーズについて「広く深く」網羅した必読の一冊。

古典部ファンは必読本!



米澤さんの「古典部」シリーズの番外編、いわゆるファンブック的なものでしょうか。

私は書き下ろし短編が目的で購入したのですが、これが想像以上に濃厚でした。
山月記を読んだホータローの読書感想文。とても中学生とは思えないですね。笑
ホータローって理系の頭してるんじゃないか。絶対に。

「あなたの本棚見せてください!」の特集も面白かったです。
よく作家さんの本棚を公開しますよね、本作ではもちろん古典部の4人の本棚です。

千反田える嬢の本棚が、私の好みとめちゃくちゃ近くて驚きました!
「小川未明童話集」や「ムーミン谷の冬」があるあたり、やっぱりえる嬢はメルヘンチック。
里志の本棚は…あなた何者ですか(´ー`)

作家との対談が面白い



そして本作で特筆すべきは、他の作家さんとの対談が収録されていることです!

こういう企画でなけりゃ、なかなかお目にかかることのない作家同士の会話。
北村薫さん、恩田陸さん、綾辻行人さん、大崎梢さんとの対談が載せられていますが、
これは素人のインタビューじゃ、絶対ついていけないですね。

皆さん古今東西様々な本を読まれてきて、それがしっかりと自分の一部となっている。
そんな真の「本好き」同士のやりとりが、とても好ましく面白いです。
ここで紹介された本、全部読んで見たいなー!

米澤さんが小学生時代から、どんな本を読んで育ってきたのかも分かり、
また一歩、作者の素顔に近づけた一冊でした。


個人的評価:★★★★

北海道にもようやく春の訪れ。

春の羊蹄山
春の羊蹄山 posted by (C)ななこ

先週まで、雪が降り続いていた北海道ですが、
ようやく!昨日今日は雪どけが進みアスファルトが見えるようになりました。
最高気温は5度ほどでまだまだ肌寒い日が続いていますが、少しずつ春の訪れを感じます。

上記の写真は、ニセコ方面へドライブに行った時の写真です!

前回のブログ更新から、もう1ヶ月以上経ってしまったのですねー
ブログを書こう、本を読もうと思いつつも日々の生活に追われています…

結婚しても、今はまだフルで働いていますが、
仕事が超絶忙しく、先月、今月は残業時間が60時間を超える始末…(´Д`|||)
働き方改革だ、長時間労働根絶だと言っているのが、遠い世界のことのようです。笑

でも自分の働き方は、自分で調整しなくてはいけませんね。

明日からは新年度!
月曜早々、新入社員の研修が控えています。ひとまずこれを乗り切らねば。

『かがみの孤城』辻村深月



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探すー

2018年本屋大賞受賞!



ブログをしばらくお休みしている間に読んだ作品です。
残業続きの仕事と、結婚準備などでかなり憔悴しきっていた時に読んだのですが(笑)
日常を忘れてしまうほどに、久々にのめり込んでしまった本です。

辻村さんといえば初期の学園ミステリなどを書いていた時は、ずっと追いかけていたのですが、
直木賞の候補に上がるようになってからは、なんとなーく離れてしまっていました。

今回の『かがみの孤城』は、ファンタジーなあらすじに惹かれて手に取ったのですが、
これが めちゃめちゃ面白かった! それにタイトルもこの表紙絵も秀逸で、読了後にもう一度見直したくなる!
2018年本屋大賞を受賞したそうですが、それも納得の面白さでした。


読後には、温かな感動が押し寄せる。



本作は、不登校の子供たちが、鏡の向こうにある不思議なお城で交流するというお話。

現代は、かつてないほど子供たちが生きづらい世の中ですよね、、
SNSでの陰湿ないじめや不登校。「ファンタジー」というオブラートに包みつつも、
真っ向から今の子供たちが抱える問題を扱っていて、時折どきりとさせられます。

7人の不登校の中学生たちがこの「かがみの孤城」に集められるのですが、
学校に行けない理由は人それぞれで、ファンタジーだけれどもあまりのリアルさに胸が苦しくなってしまうほど。
一人一人の境遇の掘り下げ方は、いつもながらとても丁寧で読ませてくれます。

どの子も話してみれば良い子だし、中にはなぜこの子が不登校なの?というケースも。
ただ単に集団生活に馴染めなかった、それだけで道から外れてしまうなんて。

なぜこの7人が集められたのか?なぜ外の世界でお互い会うことはできないのか?
ミステリ要素もあり、中盤以降は怒涛のごとく散りばめられた伏線が収束されていきます!
その手法はお見事としか言いようがなく、ラストはただただ温かな感動に包まれます。

辻村さん、素晴らしい作品をありがとう!!


個人的評価:★★★★★+