2021年2月 読書メーターまとめ
仕事柄、本屋大賞のノミネート作品をすべて読まなくてはいけなかったのですが、
ひとまず2月で全部読了!(レビューはおいおい書きます)
2月の読書メーター
読んだ本の数:16(小説8冊・漫画7冊・雑誌1冊)
読んだページ数:3794
ナイス数:604

あぁ芥川賞だと思った。このまま読み進めていったら暗い闇に飲み込まれそうになってしまう。私には幸か不幸か推しの存在はないけれど、アイドルはそういえば「偶像」という意味だったと思い出した。「推しのいない人生は余生」という笑ってしまうほどに強烈な言葉。推しに依存することでかろうじて自分を保つあかりの私生活が抜け殻のようで、常に自らを俯瞰しているような感覚が抜けなかった。内省的でありながらも、常に破滅を望んでいるかのような。これが彼女の長い人生の中の一幕を切り取ったエピソードであることを願うばかり…。
読了日:02月06日 著者:宇佐見りん

単なるファンタジーと思ったら大間違い!魔王を倒した勇者一行の後日譚…と思ったら、勇者すらも死んだ後のお話。主人公は長生きのエルフ・フリーレンです。勇者ヒンメルとの回想シーンがあちこちで入ってくるのですが、これがまた色々な意味でイケメンすぎる!人間とは歳の取り方が全く違うフリーレンの発言を否定することなく、いつでも笑って受け止めてくれる器の大きさ。エピソードがどれも切なく良い話で、思わず涙腺を刺激されます。決して派手ではないのに、とにかく引き込まれる漫画です。
読了日:02月06日 著者:

めちゃめちゃ可憐そうなのに何にも動じないフェルンと、見た目はカッコイイのに中身残念なシュタルクという仲間を得て、3人のあれやこれやという掛け合いが楽しい巻。それでもやっぱりエルフとして悠久の時を過ごすフリーレンと、人間である彼らの時間の流れは残酷なほどに異なり、親しくなればなるほどやがてくる別れが辛くなってしまいそう。主人公のフリーレンの過去はまだまだ謎に包まれているけれど、回想シーンの断片から徐々につなぎ合わされる人物像から物語に深みが出てきました。
読了日:02月06日 著者:

あぁ、既刊本まで全部読んでしまった…。続きが気になって仕方がない。フリーレンの過去が明かされるにつれて、彼女の持つとんでもない魔力も明らかに。フリーレンの師匠、そしてシュタルクのお兄さん。追憶から物語が形作られていくという類稀なストーリー展開は、読者をどっぷりとこの世界に引き込んでくれます。物語全体に漂う物悲しさはそのままに、あちこちで差し込んでくるシュールな笑いも本作の魅力ですね!それにしてもこの世からいなくなってもなお残り続けるヒンメルの存在感とイケメン感ときたら。
読了日:02月06日 著者:

なんだこれめちゃくちゃ面白い!15世紀のヨーロッパを舞台に、当時異端とされていた「地動説」にのめりこんでいく神童ラファウ。地球の動きの美しさを求めて、異端審問官の目をかいくぐって研究するなんて、常軌を逸した行動にしか見えないかもしれない。でも命にかえてでもこの感動を後世に残したいという少年に胸を打たれる。静かで、美しく、それでいてものすごい熱量が流れ込んでくる。今後が楽しみ!
読了日:02月14日 著者:魚豊

全く面白さが落ちない2巻。タイトルの「チ。」とは「地」と「知」をかけているのだろうか。真実を知ることにはあまりにも重い代償を払わなければならない。C教に反して宇宙の真実を追い求めることは異端だけれど、登場人物たちはみなその思想を絶やすまいとする。火炙りになる、目を焼かれる、拷問を受ける…そんな身体的苦痛をものともせず探求し続けた人たちのおかげで、今の常識があるのだろうなぁ。夜空をゆっくり眺めたくなりました。
読了日:02月14日 著者:魚豊

これは素晴らしすぎるイラスト集…!オールカラーで、果てしなく世界が広がります。空飛ぶ古書挺には、心に傷を負ったさまざまなお客さんが訪れる。スチームパンク的なうっとりするような衣装と、可愛い女の子たちが目の保養。イラスト集とはいえ、ひとつのストーリーとなっているところが良いですね。設定を細部まで作り込んでいるからこそのこの世界観。本を閉じた後にふと珈琲と古書の香りが漂ってきそう。
読了日:02月14日 著者:黒イ森

大好きなファンタジーのはずなのに、なかなか物語に入り込めなくて苦労しました。思った以上に時間がかかってしまった読書。深冬の父が管理人を務める「御倉館」の巨大書庫から本が盗まれると、ブックカースと呼ばれる本の呪いが発動し、深冬が物語の世界に入り込んでしまうという設定。物語世界で犯人を捕まえない限り元の世界に戻ることはできない。地下洞窟にいる銀の獣を描いた第3章や、すべての人が忽然と消えた街に入り込む第4章はとても映像化でした。
読了日:02月19日 著者:深緑 野分

心にグサグサと刺さって、ほろりと泣けて、明日への一歩を踏み出す勇気が湧いてくる作品でした。コミュニティハウスの図書室にはあらゆる仕事上の悩みを抱えた人たちがやってくる。存在感のある見た目の司書・小町さんは、希望の本と一緒に、現状を打破するきっかけになる本を一冊渡してくれる。全く関係のない、興味がないと思える本から「自分を変えよう」という第一歩になるのだから、小町さんは本当にすごい!転職をしたいがその気力すらない、ニートから抜け出せない、人生の目的を見失ってしまった…仕事に悩むすべての人の心に響く作品。
読了日:02月19日 著者:青山 美智子

涙腺崩壊。あまりの面白さに一気読みでした。かつてひどい虐待を受けて育ったキナコ。アンさんの助けを得て第二の人生を歩み始めるも、なぜか今は海辺の町で誰にも知られずにひっそりと暮らしている。そこで出会ったのは、明らかに虐待を受けていると思われる少年。声を出せない少年はどんな家庭環境なのか?なぜキナコは田舎に一人で移住してきたのか?現在と過去のエピソードが交互に語られていき、やがて明らかになる真実はあまりにも哀しい。辛いときに辛いと声を上げることの難しさ、それを気付くことのできる人間になりたいと思う。
読了日:02月20日 著者:町田 そのこ

物語はそんなに単純ではなくなってきた第4巻。金魚の視点で描かれた世界は何かの伏線なのだろうか。ジルコニアンにはジルコニアンの輝きがある。何が本物で何が偽物なのか、そしてそれが本当に大切なのかどうかが分からなくなる。二転三転する謎と、新たに浮上した工藤くんの過去。ますます読めない展開になってきました。そしてこの漫画に出てくる食べ物はいつも美味しそうでお腹が空きます…!
読了日:02月21日 著者:眉月 じゅん

胸がぎゅっとしめつけられるような切なく優しい青春小説。昭和、平成、令和。移りゆく季節とともに、私も高校生だった頃の記憶が洪水のように流れ込んできた。捨て犬コーシローの目から見る世界はいつもキラキラしていて桜の花びらが舞っている。必死に背伸びをして、相手の言動に一喜一憂して、伝えたい想いを飲み込みそれぞれの道を歩んでゆく。常にSNSで繋がっている現代と違って、連絡先を聞かなければ二度と再会することのない時代だったなぁ。最終章は幸せな気持ちになりました。カバー下には嬉しいサプライズが!
読了日:02月21日 著者:伊吹 有喜

理系は苦手な分野のはずなのに、著者の柔らかく包み込むような表現力がクッションとなり一気に読み進めてしまいました。思い通りにいかない就活に悩む大学生とベトナム人コンビニ定員を描いた表題作は、どこへ着地するのだろうと思っていたけれど、思いもよらぬ壮大な話へと繋がっていて驚いた。どの作品も何でもない小さな日常を切り取ったエピソードから、登場人物を掘り下げていき最後には静かな感動が広がる。はるか昔から連綿と続く生物や大自然の神秘は、人間関係に疲れ果てている現代人の心をそっと癒してくれる。
読了日:02月21日 著者:伊与原 新

主人公の都と同じ世代なだけに、心がえぐられるようでした。30代になってもうまくいかない恋愛、実家暮らしで親の看病、ワーキングプアの契約社員…。共感度100%というのも納得で、世の中に都のような境遇の女性達がどれだけ多いのかというのを実感する。都の母親は、病気とはいえ子離れできない毒親のように最初は思えたものの、母親の視点からも語られることでまるで印象が変わることに気付く。頑張っているのにうまくいかない、婚活も仕事もする気力がない、将来が不安でたまらない。そんな世の中のすべての女性たちに読んで欲しい。
読了日:02月27日 著者:山本 文緒

伊坂作品はどうも今まで苦手で避けていたのですが、本作は痛快かつ爽快な短編集でとても読みやすかった!小学生が主人公で、彼らが大人になったときに過去を振り返るというスタイルは、今日々の生活に疲れた大人達にキラキラとした感動を呼び覚ましてくれます。それでも、優しさだけの物語ではなくピリッと毒のあるユーモアもあり。「でも、僕はそうは思わない」たった一言なのに、なんて重たい言葉なんだろう。愛想笑いを浮かべたり、相手に迎合するほうが格段に生きやすい。大人になってすら、相手に反論することの難しさを実感します。
読了日:02月27日 著者:伊坂 幸太郎
![ナショナル ジオグラフィック日本版 2021年2月号[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51wLk5jsVwL._SL120_.jpg)
今回は新天地での生活を求めて移住の決断を下した女性たちの記事が印象的でした。世界はコロナ一色だったけれど、その裏では深刻化する干ばつや、作物を食い荒らすバッタの大発生など異常気象による食糧不足に悩まされていることを知る。経済的な理由から別の国の男性と契約結婚する女性、暴力から国外に脱出する女性…世界の女性たちは本当に強い、と思いました。彼女たちが少しでもより良い生活を送れるような世界が来ることを祈ります。
読了日:02月28日 著者:
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