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『オルタネート』加藤シゲアキ


高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。(「BOOK」データベースより)


今年の直木賞&本屋大賞ノミネート作品ですね!

本作『オルタネート』は、本来の自分だったらあまり手に取らないであろうジャンルです。
マッチングアプリ?青春小説?興味ないなぁ、なんて思いつつも仕事で必要なので読み始めました。
作者がジャニーズということもあり、どうしてもバイアスがかかっていたことも事実。

でも読み始めてその考えは一変。こんなにも引き込まれる文章を書かれる方だったとはΣ(・口・)
いや、これ想像以上に面白いですよ。

「オルタネート」という高校生限定マッチングアプリが必須になった、おそらくちょっと先の現代。
このアプリは友達や恋愛の相手を探すだけでなく、さまざまな情報網としても使われているのです。
ほとんどの高校生がアプリを使う中、アプリに馴染めない、またそもそも使う資格がない少数派もいます。

過去のトラウマを持ち、料理人の父と微妙な距離を起きつつも自らもその背中を追いかける蓉。
マッチングアプリ「オルタネート」に絶対的な信頼を置き、理想の相手を待ち望んでいる凪津。
そして高校を中退したが、かつて仲が良かった親友をどうしても忘れられず上京した尚志。

ある意味はぐれ者である3人のエピソードが、
ときには近づきつつ、ときには離れながら、終盤にむけて一気に収束していきます。
ラスト近くの交互に視点が入れ替わる緊張感と疾走感は、本当に鳥肌ものでしたね。

LGBTとかYouTuberとかが普通に出てくるあたり、時代が変わったなと思いましたが、
数年後にこれを読んだら、これがもう当たり前の世の中になっているのでしょうか。

蓉(いるる)とか、凪津(なづ)とか、えみくとか名前が覚え辛かったですがw
でもそんなことも瑣末に感じられるくらい、瑞々しい青春小説でした!

さてさて、本屋大賞受賞となるでしょうか??


個人的評価:★★★★
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2 Comments

苗坊

こんばんは。
吉川英治文学新人賞を受賞しましたねー!
直木賞、本屋大賞、吉川英治文学新人賞なら1番可能性があると思ってました。(本屋大賞はまだ未発表ですが)
私も普段なら手に取らないジャンルだと思うのですが^^;素敵な青春小説でした。3人の主人公もまたそれを取り巻く友人たちもそしてリンクも上手いなーと思いました。
これからも新刊が出たら読みたいと素直に思える作家さんです。

  • 2021/03/05 (Fri) 23:23
  • REPLY
ななこ

ななこ

To 苗坊さん

苗坊さん、こんにちは〜!

>吉川英治文学新人賞を受賞しましたねー!

おめでとうと素直に喜べる作品でしたね!!良かったです〜(///∇//)
私は今回加藤さんの作品は初だったんですが、コンスタントに本を出されていたんですね。
今後も追っかけていきたい作家さんになりました。

「オルタネート」最初は色々詰め込みすぎでは?とハラハラしていたんですが、
終盤になって一気にまとめあげる力量はさすがでしたね!
恋愛小説、青春小説はどちらかというと苦手なジャンルなんですが、こういう作品なら悪くないなぁと思いましたw
装丁も素敵ですよね、「a」はアプリのデザインなんでしょうかね〜(´ー`)

  • 2021/03/06 (Sat) 15:34
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