心に残った言葉
日々本を読んでいくうえで、
心に響いた言葉や、素敵な言葉だなぁと感じた文章を記録しておくことにしました。
単になんとなく気に入っている言葉も入っています(笑)
琴線に触れた言葉があれば、随時更新していきます!
頭上にはまた上り始めた月があり、
鈍く輝く桜の枝がひとかたまりの星雲のように空を覆っていた。
(『李歐』 高村薫-P298)
年月なんか数えるな。この李歐が時計だ。あんたの心臓に入っている。
(『李歐』 高村薫-P405)
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村は死によって包囲されている。
(『屍鬼』小野不由美-P7)
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滅びるまで、生きる。生ききったという思いの中で、滅びる。それが男ではないか。
(『黒龍の柩』上巻 北方謙三-P426)
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理屈など、男が思うさま生きた跡をなぞるように、後ろからついてくるものだ。
(『楊令伝』3巻 北方謙三-P78)
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闘えばいい。負けたら、死ねばいい。ただそれだけのことだ。
(『楊令伝』5巻 北方謙三-P309)
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悲しみとともに、人は生まれてきたのだ。
生まれた時に抱いていた悲しみと、死ぬ時に抱いている悲しみは、どこか違う。
その違いこそが、生きていた証だ。
(『楊令伝』7巻 北方謙三-P226)
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偽りの平和の上で肥えた豚のように生きていくよりは、
閃光のような真実に撃たれて死ぬ方がましだ。
(『幻想建築術』篠田真由美-P65)
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煙草を吸うと、自分がその場所にいたという痕跡を残すでしょう。それが嫌なんです。
吸い殻、煙、匂い。どれをとっても、他人に自分の存在を感じ取らせてしまう。
(『象と耳鳴り』恩田陸-P59)
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たぶん勇気というのは男らしさや元気や無謀な冒険心とはまるで違うもので、
ひょっとしたら愛と関係があるのかもしれないとぼくは考えた。
(『南の島のティオ』池澤夏樹-P189)
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屍の上に築かれた、ぼくらの世界。
人々は屍の上に立っていることに気がついていない。
でもぼくらは知ってしまったのだ。もはや屍の上に立ち続けることはできない。
(『虐殺器官』伊藤計劃-P374)
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満月の光がこうこうとすすきの原を照らしている。
風がわたるたびに、すすきの穂が銀色の水のように波うっていく。
(『狐笛のかなた』上橋菜穂子-P28)
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人はつきあい始めた頃は似ているところばかりを見つけて数え上げるが、
別れの気配を感じると、相手と自分の違うところを探し始めるのだ。
(『黒と茶の幻想』上巻 恩田陸-P171)
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「優しい」という言葉ほど曖昧で傲慢な言葉はない。
べたべたした主観的な価値を、一方的に対象に押しつける言葉だ。
(『黒と茶の幻想』下巻 恩田陸-P84)
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流行のテイストを取り入れ、いつもきれいにして、ニコニコ笑って仕事して、
少ないお給料から貯蓄をして、誰か食べさせてくれる人を探して、
会社の同僚を披露宴に呼び、不平不満を押し殺しながら主婦をして子供を育てて―
それでどうなるというのだろう。
(『光の帝国 常野物語』恩田陸-P207)
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タモンの話はいつもそうだね。
とらえどころがなくて、つかもうとすると終わってる。
(『不連続の世界』恩田陸-P41)
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個性とは自分で申告するものではなく人に感じさせるものだ。
(『禁じられた楽園』恩田陸-P64)
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美しい人は、女優であろうとなかろうと、常に念入りな演技をしているものだ―
(『中庭の出来事』恩田陸-P304)
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恥とは、人にそしられることではない。
恥とは、私利にとらわれること。小事に目を奪われて、大事をおろそかにすること。
困難を理由に義務を怠ることだ。
(『黄金の王 白銀の王』沢村凛)
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ただ彼は、血で手を汚すならば、
かえって身体全体をそれにひたしてしまう方を選ぶ男の一人だった。
(『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』塩野七生-P154)
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一神教と多神教のちがいは、ただ単に、信ずる神の数にあるのではない。
他者の神を認めるか認めないか、にある。
そして他者の神も認めるということは、他者の存在を認めるということである。
(『ローマ人の物語1 ローマは一日にして成らず(上)』塩野七生-P75)
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「こうして言葉にしてみると…すごく陳腐だ。おかしいよね。笑っていいよ」
「笑わないよ。笑っていいことじゃないだろう」
(『プシュケの涙』柴村仁-P223)
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武士とは、りっぱに切腹ができるかできないかだけにかかっている。
虚栄だが、かれらはそうとは思っていなかった。
武士が武士であることの唯一の理由だと信じていた。
(『新選組血風録』司馬遼太郎-P503)
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「ケッ、建て前だろ」
「建て前…家を新築して棟木を挙げる時にお餅とお菓子を撒く日本の風習ですよね」
「そんな訳あるか。お前の日本語、偏り過ぎだろ」
(『ソラチルサクハナ 薬屋探偵怪奇譚』高里椎奈-P156)
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その人のためにならオレは命を投げ出しても惜しくない。
オレの心と体は、最後の血の一滴まで、その人に捧げるつもりでいる。
(『煌夜祭』多崎礼)
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「あなたに、兄とあたしのなにがわかりますか」サネンの声はぞっとするほど静かだった。
周りにいた誰もが息を呑み、サネンの貌を注視した。
広い額には一面に汗が浮き、ほつれた髪がひと筋貼りついている。
それでも、サネンは雨に打たれたサネン葉のようにひやりと涼しく見えた。
(『月桃夜』遠田潤子-P196)
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ゴロー、と呼ぶと、振り返りざま、おぉっという顔をしてお愛想に尻尾を振って見せた。
それから、急ぎの用事がありますんで、とでもいうように、
こちらを振り返りつつ、すまなそうに去っていった。
(『家守綺譚』梨木香歩-P134)
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契約のいらない友愛、約束のいらない拘束。
ぼくたちの自由はなんて不自由で、だけど愛おしい形をしているのだろう。
(『白いへび眠る島』三浦しをん-P347)
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偽電気ブランはまるで私の人生を底の方から温めてくれるような味であったのです。
(『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦-P64)
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「甘いねえ」
「甘いのう」
「兄ちゃん、珈琲も牛乳も美味しくないのに、珈琲牛乳はなぜ美味しいの?」
「それは相乗効果さ」
「ソージョーコウカってなあに?」
「運命の出逢いということだ。そうなると何でもうまくいくものだ」
弟は深く納得して、珈琲牛乳を飲む。
(『有頂天家族』森見登美彦-P220)
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昨日ここを登るとき、祈りつづけていた。
きみが残ってくれるように、ではない。そうなってはいけないと思った。
きみを見送る強さを与えてくれと祈った。
(『時の旅人クレア』2巻ダイアナ・ガバルドン-P463)
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どうして大人は自分の若いときのことをすっかり忘れてしまうのだろうか。
子どもだって悲しくて不幸になることがあるのに、
大人になると、さっぱり忘れてしまっている。
(『飛ぶ教室』ケストナー-P18)
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傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだ。
(『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ)
もし良いことが来るなら、それはうれしい驚きとなるだろう。
もし悪いことが起こることになっていて、それを前もって知っていたら、
まだ起こらない前から、苦しまなければならないだろう。
(『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ)
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ぼくは棚からそっと本をひきぬいて、パラパラとページをめくりながら、目をとおした。
書棚の独房から解放されて、本は金色のほこりをまき散らした。
ぼくは自分の選択に満足し、本を小脇にかかえて、
口もとに笑みをうかべたまま、迷宮をふたたび歩きはじめた。
(『風の影』上巻カルロス・ルイス・サフォン-P18)
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「わたし、知っててよ、あなたがわたしのことを、悪く思ってらっしゃることぐらい」
「僕が?」
「そう、あなたが……あなたがよ」
「僕が?」と、わたしは悲しげに繰り返した。
そしてわたしの胸は、うちかつことのできない名状すべからざる陶酔にいざなわれて、
あやしく震え始めた。
(『はつ恋』ツルゲーネフ-P117)
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わたしはどなたの前でも、一度だって赤面するような思いをしたことはなかったのに、
あなたはわたしをなにかしら疚しい気持ちにさせるからです。
(『アンナ・カレーニナ』1巻トルストイ-P349)
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その頃私は盲のようにかけまわっていた。
あらしが私の中で騒いでいた。一歩一歩が危険だった。
今までのすべての道が流れ込み没している深い暗黒よりほか、
何も目の前に見えなかった。
(『デミアン』ヘルマン・ヘッセ)
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傷ついた生き物のように床にうずくまる彼女を、
ドリアン・グレイはその美しい目で見下ろしていた。
愛がなくなると、相手の激情はどこかばかげて見えるものだ。
(『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド-P174)
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