ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」読了しました♪
【停電の夜に】ジュンパ・ラヒリ
毎夜1時間の停電の夜に、ロウソクの灯りのもとで隠し事を打ち明けあう若夫婦―「停電の夜に」。観光で訪れたインドで、なぜか夫への内緒事をタクシー運転手に打ち明ける妻―「病気の通訳」。夫婦、家族など親しい関係の中に存在する亀裂を、みずみずしい感性と端麗な文章で表す9編。ピュリツァー賞など著名な文学賞を総なめにした、インド系新人作家の鮮烈なデビュー短編集。
最初に感じたのは、この作家さんは、恐ろしく洞察力が優れているな…ということ
決して何か大きな事件が起こるわけではなくて、、、
あくまでも日常の一部分をすくいとっただけ、という感じなんだけど。
その冷静で緻密な観察力、そして余計な装飾が一切ない文体の美しさに舌を巻きました
この作品には、9つの短編が収められています
どの作品にも共通するのは、渡米したインド人の視点から物語が進んでいくということかな。
早々にアメリカナイズされる者もいれば、故郷インドに望郷の念を抱く者がいたりと様々。
でも、どんなに新しい土地に馴染んでいようとも、所詮彼らは異邦人なのよね。
アメリカ人でもインド人でもない…狭間にいる者達の日常を淡々と綴っていきます。
中でも、表題作「停電の夜に」は秀逸ですねぇ
すっかり愛の冷えた夫婦が、停電の夜、ロウソクの灯りのもと隠し事を打ち明けるのですが…
淡々とした会話の中から徐々に明らかになる、二人の過去。うーん、本当に巧い!!
どれも一歩間違えればドロドロになりそうな題材なんですよね、実は…
にもかかわらず、ふんわりとオブラートで包んだかのような、、、透明感溢れる筆致。
チクリとした切ない余韻を残すラストも、クセになりそうです!!(笑)
…余談ですが。
作家のジュンパ・ラヒリさん、女性なんですが、、、ものすごい美女なのよ〜
両親ともにカルカッタ出身のベンガル人で、幼い頃に渡米したらしいです。
なるほど、この作品は彼女の実体験に基づいて書かれている、とも言えるのかな〜??
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