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『無貌の神』恒川光太郎

ななこ



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
この世ならざる和風情緒が漂う表題作ほか、流罪人に青天狗の仮面を届けた男が耳にした後日談、死神に魅入られた少女による七十七人殺しの顛末、人語を話す囚われの獣の数奇な運命…暴力と不条理にあふれた世界に生きるやるせなさを幻想的にあぶり出す、大人のための暗黒童話全六篇!


恒川ワールド全開の短編集!



去年読んだのに、レビューを書くのをすっかり忘れていました。
確認したら、他にもレビューを書き忘れていた本がちらほら。のんびり書いていきます。

さて、恒川作品を読むのは『金色機械』ぶりでしょうか。
『金色機械』は、時代物×SFという異色の作品だったのですが(これもすごく面白い)、
今回はいつもの恒川ワールド全開といった感じで、とても好みの作品集でした。

ブラックだけれど、どこか優しさと切なさを帯びたファンタジー作品が多く、
独特な世界観に思う存分浸れることが、本当に幸せだなぁと思います。
こういう作風の作家さんは稀なので、ずっとこの方向性で執筆を続けて欲しいです(*’ー’*)

さて、この作品には6つの短編が収められています。
恒川さんといえば、短編ですね。寝しなに1話ずつ読むのも良いかも。

●『無貌の神』
●『青天狗の乱』
●『死神と旅する女』
●『十二月の悪魔』
●『廃墟団地の風人』
●『カイムルとラートリー』


大人のための暗黒童話



どの作品も外れがなく面白かったのですが、個人的に好きだったのが表題作『無貌の神』
今回の作品集の中では、一番”恒川さんらしい”作品だったように思えます。

「禁断の地」にひっそりと坐す顔のないのっぺらぼうの神。
その神にはある不思議な力があって、傷ついた体や病を癒してくれるという。
幼い頃にこの村に迷い込んだ主人公は、この村以外で暮らす術を知らない。

争いもない、課せられた義務もない代わりに、貧しく無気力な村人たちに囲まれた毎日。
でもそんなある日、主人公の育ての親代わりのアンナが、神を殺してしまいます。

徐々に忍び寄る不穏な空気感と「のっぺらぼうの神」の秘密。
ある人にだけ見える、村の外へと続く赤い橋。
中盤以降、ゾッとするような展開とともに何とも形容しがたい読後感を残してくれる作品です。


あとは『カイムルとラートリー』も、とにかく素晴らしいお話。
足の不自由な千里眼の皇女ラートリーと、崑崙虎と呼ばれる神獣カイムルの絆。
カイムルは、拙いながらも人間の言葉を理解し話すことができます。

もうね、動物が出てくるのはダメなのよ〜最後の1ページでぶわっと涙が。。。
どこか切ないながらも、爽やかな風が吹き抜けていくような作品でした。おすすめ!!


個人的評価:★★★★★
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